関東地方のあるプラスチック関連製品を製造する中小企業の話である。その地域は、人口が減少しており、新卒採用は難しく、中途採用しても定着しない状況が続いている。

上記企業では、数年前から製造工程に5名のベトナム人に働いて頂いている。彼らは既に製造工程における重要なポジションを担っており、もはや彼ら無しでは製造ラインが止まってしまう。日本人従業員は、子息の学校の会合だ、体調悪いなどで急に休む事もある中、彼らは、休めと言わないと休んでくれないと言う。また、今日は残業はありませんか?と気を使ってくれるそうだ。では、彼らの人件費は?と経営者に尋ねてみると日本人と全く同額を払っているし、監理も依頼しているのでその費用もかかっている。割高ではあるが、大変ありがたいと話していた。

2019年10月27日の日本経済新聞社説『外国人の「受け入れ」は一里塚にすぎない』に「日本に受け入れた後の人材育成も、もちろん重要だ。企業は仕事を通じて技能や日本語力を高める職場内訓練(OJT)を計画的に進める必要がある。どんな仕事をどのような順番で経験させれば外国人の能力開発に効果的か、よく考えるべきだ。」と述べている。

この主張は、誰もが同意できるだろう。しかし、中小企業の実態を考えるとかなり難しいのではないか。例えば、このプラスチック製造中小企業には、日本人従業員向けの教育育成プランもキャリアプランも用意されていない、社外研修制度も無く、基本的にOJTのみが教育プランだ。そのOJT内容はそれぞれの上司に任されている。この企業に外国人向け技能教育、日本語教育、OJTプランを計画的に進めよという事が現実的だろうか。

(出典)中小企業庁「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」 (人材力研究会)
報告書 P31「OS」をアップデートする(「人生 100 年時代の社会人基礎力」を身につける)

中小企業が受け入れる外国人労働者への教育プログラムが「いわばOS」なのか、いわば「アプリ」なのか。いわばアプリ領域ならばどのレベルまで持っていくのか。技能研修生は最大5年という限られた時間しかない。今、我々はベトナム人社長が経営する人材会社と効果的な育成方法を協議している。社説の趣旨を具体的に実現できる枠組み、かつ、中小企業に無理なく受け入れて頂ける仕組み、つまり教育投資が必要最小にもかかわらず最大の効果を得られる仕組みだ。本企画に興味がある中小企業経営者がいらっしゃるようであれば、ぜひ、ご連絡いただきたい。

2019年11月4日