webツールを使う営業を考える

新型コロナ感染対策により、テレワーク、在宅勤務が日常的な勤務状態になりつつある。もちろん、すべての企業がそうではないが、多くの大企業ではもはや日常的になったと言えよう。中小企業でも、部門によってはテレワークが定着した会社もある。そのような時世の中、ある中小企業から相談があった。

伝統的な商品を販売する日本の中小企業、従業員約100名、ベテラン営業マンが営業の要として活躍している。彼らはお客様とあうんの呼吸、浪花節配慮などウェットな関係で高い信頼を得ているお客様が大半だ。
しかし、このコロナ感染により対面型営業活動は出来なくなってしまった。長いお付き合いのお客様は、電話でもコミニュケーションができるので短期的には問題はない。だが、新規顧客開発はパタリとできなくなってしまった。紹介を頂いたお客様にもwebツールを使った営業活動ができていない。

この原因は何か、ヒアリングを進めると以下の原因がわかってきた。
まず、ベテラン営業マンがwebツールは使いこなせないと思い込んでいること。もうひとつは、彼らが実績を築いて来た対面型営業からの転換への恐怖だろう。
例えば、webツールで有名なzoomであれば少し頑張ればパソコンオンチの方でもすぐに使いこなせる。
経営者は、まず、彼らに研修の機会を作ることが大事だ。その上で各々個人で練習し、仕組みがわかってきたら、営業マン同士でお互いに営業のシュミレーションを重ね使いこなす自信を持ってもらうことだ。ベテラン営業マンにいまからwebツールを使いこなして欲しいと言うのは酷かも知れないが、割り切ってゲーム感覚で理解してもらおう。こうして、ツールを使うこなせるようになってもwebによる営業活動への意識転換ができないと実戦への適用は難しい。
実は、この新型コロナ感染対策によって、否応なくwebツールを使う環境下になった会社も多い。その結果、webツールによる営業を受けても違和感は無いと感じる人も多くなった。逆に、資料を画面共有し、説明を受け、質疑応答する方が合理的かつ効率的だったと感じる人も増えている。特に、商品やサービスに興味を持ってもらうセールス初期段階では売り手も買い手も双方効率的だ。これも、短時間で対面型営業マンの意識改革は難しいものの研修や若手の先行事例、成功事例などの社内研究会などを通じ地道に浸透させていくことが近道だ。

弊社では、営業向けwebツールの基礎講習会から実戦的営業研修をお請けしています。ぜひ、ご相談ください。

via PressSync

優柔不断は常に誤りである

Financial Times  business columnist John Gapper氏のコメントから

2019年10月21日付日経新聞Opinionで掲載された John Gapper 氏のコメントは非常に興味深い内容であった。

「経営者は、自身を嵐の海を進む船の船長である」と例えたのは、ノーベル経済学賞を受賞した米国の心理学者ダニエル・カーネマン氏である。企業経営において経営方針が無い、決まらないという状況は、管理職も含め全社員が困ってしまう。「方針が間違っていたとしても目的地が決まっていればおのずとやることも決まる。ゆえに、経営者は迅速な経営判断が必要である」と述べている。例えば、HSBCで暫定CEOを務めるノエル・クイン氏は「5秒ルール」を用いているそうだ。部下に選択肢の概要をまとめさせ、それを数秒で選択させる。(もちろん、必要なら見直す機会がある)つまり、漂流状態ではなく、いち早く目的地を定めることの重要性を説いている。

昔、当社にコンサルティングの引き合いを持ちかけたあるソフトウエア会社の社長は、多品種のソフトウエアを次々と開発、自社商品化していた。さらに、他社モノの代理店権も次々と獲得、とにかく品揃えを豊富にすることで手一杯の状況だった。目的地はどこなのか?目標は何か?・・・だれもが理解できなかった。焦点とする開発投資や販促対象商品は猫の目のように変わる。もちろん、中小企業であるゆえ、営業リソースは限られ有力な販売チャネルがあるわけでもない。我々は、まず経営方針を固め、目的地を定めることを強く推奨、中期プランを提案したが、意見の相違があり当社のサービスが採用されることは無かった。なお、該社は予想通り4期連続赤字である。

中小企業経営者は、最終的には自らの判断で船の目的地を決めなければならない。中小企業は、大企業と異なり過度な合意形成プロセスや煩雑な手続きなどはないだろう。まずは、自らが腹を括り方針を決めることが重要だ。Gapper 氏は、『あらゆる角度から検討し、慎重かつ断固とした態度で実行したとしても失敗の可能性はあり、それに気が付いた時の後戻りや方針変更は難しいことはわかっている。それでも、方針を迅速に決めるべきだ』と締めくくっている。