中小企業のテレワーク実現への道 その2

そもそもテレワークとは何か?テレワークとは「ICTを活用した場所にとらわれない柔軟な働き方」と総務省の「情報システム担当者のためのテレワーク導入手順書」では定義している。それによれば、在宅勤務だけがテレワークではない。在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務(施設利用型勤務)等さまざまな働き方の総称なのである。

図表1 テレワークの形態(総務省)「情報システム担当者のためのテレワーク導入手順書」P6図表1-1を引用

中小企業であっても、必要な機材とネットワークを揃えればモバイルワークは可能である。また、サテライトオフィスは、会社が本格的なシェアオフィスと契約しなくても都度必要経費さえ払えば、だれでもその空間を利用できる環境が整ってきた。在宅勤務の場合も、パソコンなどの機材、必要であればインターネットに接続すれば大抵の仕事はできる。

では、なぜ、中小企業はテレワークを導入できないのであろうか。

図表2 緊急事態宣言後のテレワーク導入率(パーソル雇用研究所2020年調査)

2020年3月のパーソル総合研究所の調査において、テレワーク実施率は13.2%だった。さらに、緊急事態宣言後(2020年4月8日以降)大企業、中小企業を含めた全国平均でも27.9%に過ぎない。しかも、この数字は正社員を対象としたもので、非正規社員のリモートワーク実施率は緊急事態宣言後も17.0%にまで下がっていることがわかった。

図表3 テレワーク導入が難しい理由(パーソル雇用研究所2020年調査から筆者作成)

中小企業がテレワーク導入を難しい理由に、元々テレワークで行える業務ではないという最初から諦めているケース、制度や設備がないからという消極的理由のケースなど理由はいろいろだ。(場所がないという回答が10%もあったのは驚きだ。日本であれば地方都市、地方市町村でもインターネットへの接続は困難ではなく、仕事する場所の確保が困難とは思えないのだが・・・)

したがって、中小企業にテレワークを導入するためには、実現できない理由を排除し、制度や仕組みを整えていくことが必要だろう。その実現には、以下のようなプロセスが必要になる。

1.   業務プロセスの見直し(属人性を排除する)

    業務の全体像を把握し、プロセスを見直す

同時にテレワーク可能な業務を切り出す

2.   就業規則、人事考課制度の見直し(ルールの見直し、評価軸の切り替え、部分的でもジョブ型への移行)

    就業関連のルールを見直し、テレワークに沿った就業プロセスを整備する

    人事評価制度、人事情報共有、心のケアを可能にする制度を作る

3.   IT整備を行う(パソコン、ネットワーク環境、社内ネットワークへの接続などの見直し、セキュリティの見直し)

    テレワーク制度(社内規程等)に則ったIT環境整備を企画する

    段階的導入と投資予算の確保、政府、団体等の補助金制度の適用を検討

4.   テレワーク環境の整備(在宅勤務、モバイルワーク等の実施場所の充実のためのガイドライン作り、教育研修等の実施)

    在宅、コワーキングスペース等の整備支援を検討する

    テレワークが実現可能なIT環境整備を支援する

上記のプロセスのように段階的にテレワークを実現していくときに自社単独では難しいという場合、我々のチームが相談、ご支援します。ぜひ、ご相談ください。(上記の1.2.3.4の項目はテレワーク実現プロセスの一部抜粋となります)