先日、ある中小企業の社長から「経営診断を受けたのだが、この診断書類について意見が欲しい」との話を受けた。この企業は、食品関連製造業、社員200名弱の中小企業である。社長も情報化が遅れていると認識しているものの、どうやって進めたら良いかわからなかったので、渡に船とばかり経営診断提案を受けたようだ。
診断書の内容は、コンサルティングファーム業界独自の言葉になるが「コインの裏返し」で埋め尽くされた内容だった。「コインの裏返し」とは、あたかもコインを裏返すように、表面的に見えている問題をそのまま裏返して対策として提案することである。多くの場合、事象の因果関係と全体構造を突き詰めておらず、全体最適を考えていないケースが多い。その診断書の内容は「注文書の入力に時間がかかっている → 書式を統一し、OCRで読み取り後RPAで読み取るシステムを構築する」、「勤怠申請手書き → クラウド勤怠導入」という具合だ。場当たり的な診断と思われる診断書であるが、すでに1か月もかかっているという。
上記の調査によれば、中小企業経営者の相談相手は68%が顧問税理士であることがわかる。法第1条において「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」と規定されている。経営指導に優れた優秀な税理士の先生は多いと聞いているものの経営コンサルティング領域は専門職ではないことがわかる。
また、開業税理士の年齢層を見てみよう。50歳代~80歳代で全体の71.6%も占めている。高齢であるがゆえにIT(情報化)に疎いということは必ずしも正しくないものの、巨大IT産業GAFAの影響、人工知能やモノをインターネットで繋ぐIOTなど、技術発展とビジネス変化のスピードについていくのはIT業界の人でも大変な時代だ。顧問先企業の内外環境変化、事業構造変化、競争ルールの変化などの潮流を察知、予測しつつ、コンサルティングしていくことは少々難しいかも知れない。
いつもと異なる視点が欲しい、多様な経験を持つアドバイザーから意見を聞いてより最適な解決策を自分で選びたい、顧問契約の先生には満足しているが一応違う意見を聞いてみたい、専門外のテーマなので、詳しい専門家の意見を聞いてみたい等々、ぜひ、一度ご相談ください。