中小企業のテレワーク実現への道 その2

そもそもテレワークとは何か?テレワークとは「ICTを活用した場所にとらわれない柔軟な働き方」と総務省の「情報システム担当者のためのテレワーク導入手順書」では定義している。それによれば、在宅勤務だけがテレワークではない。在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務(施設利用型勤務)等さまざまな働き方の総称なのである。

図表1 テレワークの形態(総務省)「情報システム担当者のためのテレワーク導入手順書」P6図表1-1を引用

中小企業であっても、必要な機材とネットワークを揃えればモバイルワークは可能である。また、サテライトオフィスは、会社が本格的なシェアオフィスと契約しなくても都度必要経費さえ払えば、だれでもその空間を利用できる環境が整ってきた。在宅勤務の場合も、パソコンなどの機材、必要であればインターネットに接続すれば大抵の仕事はできる。

では、なぜ、中小企業はテレワークを導入できないのであろうか。

図表2 緊急事態宣言後のテレワーク導入率(パーソル雇用研究所2020年調査)

2020年3月のパーソル総合研究所の調査において、テレワーク実施率は13.2%だった。さらに、緊急事態宣言後(2020年4月8日以降)大企業、中小企業を含めた全国平均でも27.9%に過ぎない。しかも、この数字は正社員を対象としたもので、非正規社員のリモートワーク実施率は緊急事態宣言後も17.0%にまで下がっていることがわかった。

図表3 テレワーク導入が難しい理由(パーソル雇用研究所2020年調査から筆者作成)

中小企業がテレワーク導入を難しい理由に、元々テレワークで行える業務ではないという最初から諦めているケース、制度や設備がないからという消極的理由のケースなど理由はいろいろだ。(場所がないという回答が10%もあったのは驚きだ。日本であれば地方都市、地方市町村でもインターネットへの接続は困難ではなく、仕事する場所の確保が困難とは思えないのだが・・・)

したがって、中小企業にテレワークを導入するためには、実現できない理由を排除し、制度や仕組みを整えていくことが必要だろう。その実現には、以下のようなプロセスが必要になる。

1.   業務プロセスの見直し(属人性を排除する)

    業務の全体像を把握し、プロセスを見直す

同時にテレワーク可能な業務を切り出す

2.   就業規則、人事考課制度の見直し(ルールの見直し、評価軸の切り替え、部分的でもジョブ型への移行)

    就業関連のルールを見直し、テレワークに沿った就業プロセスを整備する

    人事評価制度、人事情報共有、心のケアを可能にする制度を作る

3.   IT整備を行う(パソコン、ネットワーク環境、社内ネットワークへの接続などの見直し、セキュリティの見直し)

    テレワーク制度(社内規程等)に則ったIT環境整備を企画する

    段階的導入と投資予算の確保、政府、団体等の補助金制度の適用を検討

4.   テレワーク環境の整備(在宅勤務、モバイルワーク等の実施場所の充実のためのガイドライン作り、教育研修等の実施)

    在宅、コワーキングスペース等の整備支援を検討する

    テレワークが実現可能なIT環境整備を支援する

上記のプロセスのように段階的にテレワークを実現していくときに自社単独では難しいという場合、我々のチームが相談、ご支援します。ぜひ、ご相談ください。(上記の1.2.3.4の項目はテレワーク実現プロセスの一部抜粋となります)

中小企業のテレワーク実現への道 その1

新型コロナウィルス感染防止のため、多くの企業の積極的な事業活動は3月下旬から実質2か月以上停止もしくは停滞してしまった。すべての業種業態の企業がマイナスの影響を受けたわけではないが、影響ゼロの企業は少ないだろう。お客様との取引プロセスや情報交換手法の見直し、社員の通勤やランチ、組織の指示命令など従来通りのプロセスでは対応できず新しいプロセスの試行錯誤に時間を取られた企業も多かった。これらの対応と同時に、運転資金の確保、雇用調整助成金申請書作成などの作業負担も重なり、その苦労は計り知れない。しかし、企業はゴーイングコンサーン(Going Concern)「継続企業の前提」で成り立っており、倒産せず将来にわたりずっと企業活動を継続することが前提だ。今回のパンデミック対策も日頃からの備えが大事であることを痛感させられた経営者も多いだろう。

さて、今日は、情報システム化がうまくいっていなかった企業が、このコロナ対応で、突貫工事的であったものの、思い切ったテレワーク対応ができた例を紹介したい。

関東地方の中小企業A社は、情報システム投資においては、過去多くの失策を重ねていた。身の丈に合っていないアプリケーションソフトウエアの導入、IT投資ポートフォリオの判断ミスなど、残念な投資が多かった。我々は、その立て直しプロジェクトに参画したのである。

しかし、よくある話ではあるが、組織内部には改革抵抗勢力があり、改革推進派の役員も思う通りに進められない。大企業の情報システム投資はトップダウン型のが早く進む。そのシステムを使わないと業務ができない仕組みを導入してしまうので、社員は使わざるを得ない。ITリテラシーも比較的高い社員が多く、いずれ慣れ、文句も言わなくなる。

しかし、中小企業の場合、あまりに急激な情報システム導入は、「ついていけない」と退社する社員が相次いでしまうリスクが高い。最悪の場合、数割の社員は退社してもかまわない、「改革は進める」という不退転の覚悟で進める経営者の判断もありうる。が、その判断はなかなか難しいのが現実だろう。ゆえに、表面上だけでもボトムアップ型、社内調整合意形成プロジェクトで進める方が安全だ。

A社の場合、社内調整合意形成プロジェクトを推し進めてきた改革推進派役員の必死の努力も空しく、最後の土壇場で反対派に現行システム維持改修という方向に舵を取られてしまった。改革には抵抗や反対は必ずある。人間は本能的に変化を嫌う。A社の場合、現行システム改修案を選択すれば、反対派一派は自らの仕事を失うことも無くポジションも安泰だ。推進派は、反対派の兆候を掴み、数々の対策を施してきたが水面下の動きを察知できていなかったのだろう。このような経緯を経て、我々支援チームは、組織内部の冷却期間を取り、リスタートできる状況に回復できるまで待つことを選択した。そのような中、新型コロナ対応の混乱時期に突入してしまった。

さて、社会的に落ち着きを取り戻しつつある時、推進派役員から連絡を受けた。驚いたことに、古典的なハンコ文化と浪花節社風があふれるごく一般的な日本の中小企業であったA社が、テレワークに積極的に取り組んでいたのである。具体的には、役員会議を始め、営業部門会議などはすべてZOOMミーティング、経理総務部門などは半数が在宅テレワーク、ZOOM飲み会も頻繁開催という変わりようだった。勿論、突貫工事的なテレワーク体制への取組ゆえに今後問題も多く出てくるだろう。しかし、習うより慣れろだ。ちょっと考えれば、多くの社員がスマートフォンを使い、自宅ではインターネットを楽しむ時代だ。それらのツールと既存インフラを利用すれば、技術的にテレワークができない理由などはないはずだ。今回のコロナ対応は、A社にとっても組織改革の突破口になることが期待される。

次回「中小企業のテレワーク実現への道 その2」では、中小企業がテレワークに移行する注意点をいくつかお話したい。

「今を生きる」一番いいのは今だ!と思うこと

新型コロナウイルスによる経済活動への影響が顕著になってきた。飲食業、サービス業、観光業、輸送業など軒並み売上が大幅ダウンになってきている。人の動きが止まることで、特定産業以外は苦境であることは間違いない。

恐竜が地球上から姿を消したのは6600万年前のことだ。 動物は、気候や外的環境に合わせて長い時間をかけて体のしくみを変化させる。それは、生きていくために必要なこと。しかし、一度、気候や環境に合わせて体のしくみを複雑にかえると、その後、気候や環境が大きく変化したときに合わせることができなければ滅びてしまう。

昔は良かった。ちょっと前まではこうではなかった。本当にそうだろうか。嵐山さんはこう述べている。「昔はよかった」という人がいますが、なにをもってよかったのか。戦地でお父さんが死に、空襲で親族が死に、家を焼かれ、食うものがなく、スカンポの茎を食って生きてきた。どこの昔がよかったのか。よかった昔なんてどこにもない。(引用 日経新聞 あすへの話題 嵐山光三郎さん 2020/4/25夕刊)

今こそ、チャンスだと思うこと。時代の変化に合わせて前向きにとらえることが重要だ。時は戻すことができない。

事例1「東京都 業態転換支援事業」 は、来店型飲食業からテイクアウト、宅配、移動販売への転換を支援する取組だ。待ちから攻めへの転換を支援する。コロナが去るのを待つのではなく自分から変えていく。

事例2 中小物流A社は、プラスチックダンボールを扱っていた。この素材を活かし、透明プラスチック事務机用パーテーションを企画、売り出した。テレワーク比率は3割だ。つまり、7割は執務室で事務作業をしていることになる。

事例3 小規模ケーキ屋さんBは、予約型プチ贅沢セットを売り出した。スティーホームで在宅率は上がっている。でも、家族でちょっとの贅沢をしたい。自粛疲れの中のひと時の贅沢。このような時期だから言いにくいが、実は売上は上がっている。

弊社は、現在の事業環境からの打開策の立案から実行支援まで伴走致します。スマートフォンやパソコンによる対面型ミーティングが可能です。ぜひ、ご相談ください。

ピンチをチャンスに変えよう!

新型コロナ感染の経済的影響は大企業、中小企業問わず大きい。今後さらに拡大する可能性が高い。人と人の接触を避けなければならないゆえに、営業活動もできず、情報交換会、懇親会、講演やセミナー、展示会の中止など影響は限りなく広がっている。人の動きが止まり、モノ、カネ、一次情報の動きが止まれば、売上も下がる。 経済より生命のが重要であるがゆえに当然の結果だ。しかし、企業の維持コストはかかる。したがって、企業は内部留保(利益剰余金)に左右される体力勝負になってくる。しかし、内部留保の状況は企業ごとに大きく異なり、蓄積が少ない企業は数か月で資金繰りはショートしてしまう。

政府の施策も必要な制度は申請すべきだが、この世界的危機においても特需が発生していることを知る必要がある。いわばコロナ特需である。すでに、欧米においては、不足している医療用具を、遊休工場設備を利用して製造する仕組みが多く立ち上がっている。自社の遊休設備があり、その設備を有効活用できれば、社会貢献にもなり、従業員の雇用にも役立てることができる可能性がある。

医療関連特需の例

・医療用マスク・医療用手袋・防護服、医療用ガウン・医療用ゴーグル

・人工呼吸器・野外医療ユニット・院内感染を防ぐ換気設備

・消毒用品・ウイルス検査用の試薬、材料・鼻腔用綿棒

・高齢者用老人ホーム等の感染防止用リノベーション・空気洗浄機・換気装置

ステイホーム特需の例

・家庭用ビデオゲーム・家族用ボードゲーム・個人用OA機器類

・在宅勤務用ソフトウエア・パソコン接続用カメラ&マイク・ヘッドセット

・在宅勤務時の教育、講義、情報共有用映像制作ビジネス

・運動不足解消のエアロビクス映像、遠隔運動指導ビジネス、

人脈を通じ、少しの時間で情報収集しただけでもこれだけの市場が特需として生まれていることがわかる。例えば、3Dプリンタでマスクを製造できる設計データを3D専門メーカが無償で公開している。もし、遊休3Dプリンターがあれば製造することも可能だ。今後は、政府が用意した補助金、助成金などを有効に活用しつつ、このピンチをチャンスと捉え、新規事業進出の足掛かりとして前向きに考えてみることも必要だ。

弊社では、中小企業向けの補助金、助成金のアドバイス、短期で売上を獲得するビジネスアイディア創出、市場調査も実施しております。国難とも言える苦しい時期でありますが、ご支援できる体制をご用意できます。ご相談下さい。

苦しい時こそ、実直にモノゴト進めよう。

新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために前向きな投資を行う事業者向けに、補助率または補助上限を引き上げ「特別枠」を設けることが決まった。(4月7日令和2年度補正予算閣議決定)
人類が経験した感染症には、中世のペストやスペイン風邪などがあるが、今世界を震撼させているコロナウィルスの流行もいずれ終息を迎える。永遠に続くことはない。会社としては、社員を守る事と終息後を見据え、V字型回復のためにやるべき事を実直に進めておくことが大事だ。明けない夜はない。先の見えない不安や、鬱積した気分に負けず、明日を信じて、この状況を乗り越えて行く勇気が必要だ。いつの時代でも、ピンチをチャンスに変えてきた企業が生き残る。

政府も、中小企業が迎えているこの苦しい時期に、補助率または補助上限を引き上げた。過去、何度も挑戦して採択にならなかったとしても、今年は大きなチャンスになる。コロナウィルスの影響により応募総数が少ない可能性も考えられる。もちろん、これらの補助金は、条件を満たせば必ず受給できるというものではない。条件を満たし、かつ、審査をパスする必要がある。生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資の良い機会だと考える場合、稀な機会と言えるだろう。

●ものづくり補助金

補助上限:1,000万円を継続 補助率:1/2から2/3に引き上げ(例:対象経費2000万円に対し最大1000万円補助が対象経費1500万円に対し最大1000万円補助に変更)

●IT導入補助金

補助額:30万円~450万円のまま 補助率:1/2から2/3に引き上げ(例:対象経費300万円に対し最大150万円補助が対象経費225万円に対し最大150万円補助に変更)

●持続化補助金

補助上限:50万円から100万円に引き上げ 補助率 :2/3のまま

引用 https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2020/hosei/pdf/hosei_yosan_gaiyo.pdf

なお、申請要件として、補助対象経費の1/6以上が、以下の要件に合致する投資であることが必要になっているので注意が必要だ。

サプライチェーンへの毀損への対応(顧客への製品供給を継続するために、必要な設備投資や製品開発を行うこと(例:部品調達困難による部品内製化、出荷先営業停止に伴う新規顧客開拓)

非対面型ビジネスモデルへの転換(非対面・遠隔でサービス提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと(例:店舗販売からEC販売へのシフト、VR/オンラインによるサービス提供)

テレワーク環境の整備(従業員がテレワークを実践できるような環境を整備すること(例:WEB会議システム、PC等を含むシンクライアントシステムの導入)

この厳しいときに、設備投資への判断はきついかも知れないが、コロナ後を見据え落ち着いた判断が後々効果を発揮する可能性がある。

弊社では、過去のリーマンショックからの立ち直りから学ぶ他社の奮闘ぶりや立ち向かう姿勢情報を収集しています。早々に公開して参ります。

サイバー攻撃を甘くみてはいけない!

一般社団法人 日本損害保険協会から、日本の中小企業1113社を対象に実施したサイバー保険に関する調査(2020年1月 https://www.sonpo.or.jp/cyber-hoken/data/2019-01/ )が公開された。それによれば、多くの中小企業経営者は、4社に1社はセキュリティ対策をしていない、サイバーリスクへの対応はわずか1.6%の企業しか優先度が高いと感じていないなどの実態が明らかになった。

中小企業経営者にお尋ねしたい。御社の業務を支えているのは何か。そのひとつは情報システムではないか。それが、もし、システムダウンしたら、ハッカーにデータを暗号化されたら、取引先様の重要情報が漏えいしたら、お客様の個人情報が漏えいしたら・・・・どうなるだろうか。

セキュリティ対策を施しておらず、インターネットに接続している情報システムがあれば、それは格好の餌食になっていることは間違いない。インターネットの世界は、利便性と引き換えに多くの脅威と向き合うことになる。それに気が付かないだけで、実のところ、腕利きのハッカーや普通のおじさんがハッキングツールを手に入れて面白半分に御社の情報システムの中をのぞいているかもしれない。世界中と繋がっていることを忘れてはならない。

2019年、ハッカーによる攻撃による個人情報を漏洩させてしまったマリオットホテルは約135億円の制裁金を課された。これは、セキュリティ対策不足に対するEUのデータ保護規則(GDPR)違反によるものだ。同様にハッカーによる攻撃で50万人のクレジットカード情報が漏えいした英国航空に対しては、約250億円の制裁金だ。

日本の中小企業も狙われている。今までは、日本語の壁に守られていたが、優秀な翻訳ソフトの登場により容易く狙えるようになってきた。闇市場では、中小企業から漏洩したと思われる 日本人のクレジットカード情報は、名前・住所・クレジットカード番号・パスワードがセットで、1人あたり約5500円で売られ、大手と思われる取引先の図面情報なども出品されている。

もし、貴社の情報システムのデータが暗号化され、身代金を払えといわれたらどうするのか。払ってもデータが戻る可能性も少ないのだ。もし、貴社の情報システムが突然停止したらどうするのか。情報システムは、動いて当たり前、停止することなどないと思っていたら、それは間違いだろう。

サイバーセキュリティ対策、情報システムの運用管理に少しでも不安があれば、ぜひ、弊社にご相談ください。不安解消に役立つこと間違いありません。

テレワーク実現できるチャンス到来だ

東京都から「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」の募集要領が3月6日に公表された。 本事業は、都内中堅・中小企業に対し、テレワークの導入に必要な機器やソフトウエア等の経費を助成してくれる。助成の対象は、テレワークに必要と思われる機器の導入や利用料など幅広いものだ。しかも、限度額は250万円、さらに、助成率は10分の10という大盤振る舞いである。

但し、申請期限は5月12日まで、加えて、支給決定後、6月30日までにテレワーク環境の整備が完了することという条件があり、時間に余裕はない。予算規模は想定100社、つまり、激しい競争が予想される。したがって、自社の中でも優秀な人材を担当としてアサインし、最優先で取り組まないと難しいだろう。それでも、挑戦してみる価値は高い。なぜならば、この機会に古いWindows7パソコンの刷新、外部から接続可能なネットワークの整備など、まさに中小企業の働き改革に必要な環境を一気に揃えることができるからだ。

https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/boshu/documents/zigyoukeizoku-boshuuyoukou.pdf

上記の通り、助成対象機器類は幅広い。IT化が遅れている中小企業は、ここで、社内のIT推進を推し進めることも可能になる。我が社は、高齢従業員が多いから、テレワークのやり方がわからないから等々、導入しない言い訳を考えるよりも 「習うより慣れよ」 だ。

当社では、申請代行はお請けしておりませんが、協力してくれる中小企業診断士、行政書士などのネットワークがあります。ご要望がございましたら、ご相談ください。

中小企業の時間外労働上限規制

ついに、2020年4月から中小企業にも規制が開始される。下請け業務が中心の中小企業の場合、依頼元の大企業の時間外労働時間上限規制の影響を受け、やむなく長時間労働で対応していたケースも多いと思われる。今後は、その余波を吸収することは難しくなる。中小企業自らも限られた労働時間の範囲内で業務を遂行しなければならない。だからといって、容易に人も増やせない。人件費の問題もあるうえ、新規採用も大変、運よく採用しても辞めてしまうケースも多いうえ、中途採用も難しい。時間外労働時間の上限規制を要員拡充でカバーすることはそう簡単ではない。我々のクライアントの中小企業でも、人材採用の苦労は続いており、ある会社の経営者は、数年ぶりに新卒を一人も採用できなかったと嘆いていた。継続的に新卒採用ができる会社、人材が定着する会社、中途採用ができる会社になるには、中長期的展望を見据えた人事戦略、キャリアプランの作成、教育研修プランなどが必要になる。それは経営者も十分理解しているが、それをできる人材、する人材が社内にいないことが悩みなのだ。

厚生労働省 働き方改革について 平成30年7月発表資料 参考3/P2から引用

さて、直面する労働時間の上限規制の対応、人手不足解消のためには、やはりITの力を活かすことが良いだろう。短期的な効果を期待できる即効性もあり、経済産業省も補助金制度を多く設定している。特に、推奨するのは「IT導入補助金」だ。数年前は、複数の類似制度との棲み分けがわかりにくい制度であったが、今年は申請し易い制度になりそうだ。 この制度は、事前に登録されたITツール(ソフトウェア、サービス導入費)の調達に貢献する。主にバックオフィス業務と呼ばれる総務、経理、営業支援などの領域にITツールを導入し、経営状況の「見える化」、 IT導入による業務自動化などの多様なニーズに応えることができる。 ITツールの導入の際には、現在の業務フローの見直し、承認フローの見直しなどを実施する必要もある。突貫工事で導入しても期待ほどの効果は出ないはずだ。IT導入補助金の申請時期も近い。今から準備を開始することを推奨する。

●補助下限・上限額および補助率

・A類型 補助金額 30万円~150万円 補助率  2分の1

・B類型 補助金額 150万円~450万円 補助率  2分の1

当社では、申請代行はお請けしておりませんが、協力してくれる中小企業診断士、行政書士などのネットワークがあります。ご要望がございましたら、ご相談ください。

業務の属人化排除を考えよう

一般的に中小企業の場合、業務ローテーションが難しく、入社時に配置された職務に長く就くことが多い。大企業のように多くの社員を抱えることは難しいうえ、多くの 中小企業はキャリアの多元化・複線化などを考慮した採用計画、人事制度、研修育成制度などを整備する余力はなく、どうしても場当たり的な人材採用と配置になってしまう。そのため、特定の業務の経験が長くなり、必然的に業務の属人性も高くなる。属人性が高くなると、その人が退職したり、急に休んだ場合には担当の業務が停止してしまう。その人しか知らない業務となり、アンタチャブルな世界へと迷い込んでいく。上司も管理できず、業務品質の管理もできなくなる。こうして、悪循環に陥る。

我々が担当した中小企業においても、同様のケースが多発していた。例えば、情報システム管理者が唯一1人で運用しているケースなどだ。中小企業の情報システムは、重要な役割を持っているにも関わらず、担当は1人というケースも多い。ひとり情報システム部など揶揄されているが、この問題の根は相当深い。

現代では、働き改革と称され、業務改革の目指す方向性が打ち出されている。その改革の担い手はIT化であることは疑いない。つまり、ひとり情報システム部に任せてしまうことは、ブラックボックス化を推進してしまうことになる。

やはり、業務の属人化排除の対策は、「業務の見える化」しかないだろう。見える化には、業務フローの可視化、業務の標準化だ。標準化するのであれば、業務分掌の明確化、さらには業務手順書が必要になる。そうすれば、属人化から脱却ができるうえ、人事ローテーションもできる可能性は出てくる。

もし、業務分掌、業務の可視化、見える化、標準化、ひとり情報システム部問題でお悩みの場合、ぜひ、当社にご相談ください。我々の経験が必ずお役に立つと思います。ご連絡をお待ちしています。

中小企業経営診断セカンドオピニオンのお薦め

先日、ある中小企業の社長から「経営診断を受けたのだが、この診断書類について意見が欲しい」との話を受けた。この企業は、食品関連製造業、社員200名弱の中小企業である。社長も情報化が遅れていると認識しているものの、どうやって進めたら良いかわからなかったので、渡に船とばかり経営診断提案を受けたようだ。

診断書の内容は、コンサルティングファーム業界独自の言葉になるが「コインの裏返し」で埋め尽くされた内容だった。「コインの裏返し」とは、あたかもコインを裏返すように、表面的に見えている問題をそのまま裏返して対策として提案することである。多くの場合、事象の因果関係と全体構造を突き詰めておらず、全体最適を考えていないケースが多い。その診断書の内容は「注文書の入力に時間がかかっている → 書式を統一し、OCRで読み取り後RPAで読み取るシステムを構築する」、「勤怠申請手書き → クラウド勤怠導入」という具合だ。場当たり的な診断と思われる診断書であるが、すでに1か月もかかっているという。

中小企業経営者の経営相談の状況
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H24/H24/html/k321000.html
 中小企業白書2011年 から引用
中小企業庁の委託により、(株)野村総合研究所が2011年12月に、
中小企業19,437社を対象に実施したアンケート調査。回収率43.1%。

上記の調査によれば、中小企業経営者の相談相手は68%が顧問税理士であることがわかる。法第1条において「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」と規定されている。経営指導に優れた優秀な税理士の先生は多いと聞いているものの経営コンサルティング領域は専門職ではないことがわかる。

税理士の年齢構成 平成28年3月現在
https://www.nichizeiren.or.jp/wp-content/uploads/doc/prospects/whats_zeirishi/book02/origin/page-0017.pdf
データで見る税理士のリアル 日本税理士会連合会HPから引用

また、開業税理士の年齢層を見てみよう。50歳代~80歳代で全体の71.6%も占めている。高齢であるがゆえにIT(情報化)に疎いということは必ずしも正しくないものの、巨大IT産業GAFAの影響、人工知能やモノをインターネットで繋ぐIOTなど、技術発展とビジネス変化のスピードについていくのはIT業界の人でも大変な時代だ。顧問先企業の内外環境変化、事業構造変化、競争ルールの変化などの潮流を察知、予測しつつ、コンサルティングしていくことは少々難しいかも知れない。

いつもと異なる視点が欲しい、多様な経験を持つアドバイザーから意見を聞いてより最適な解決策を自分で選びたい、顧問契約の先生には満足しているが一応違う意見を聞いてみたい、専門外のテーマなので、詳しい専門家の意見を聞いてみたい等々、ぜひ、一度ご相談ください。